青空文庫

「泡鳴五部作」の感想

泡鳴五部作

ほうめいごぶさく

03 放浪

03 ほうろう

初出:「放浪」東雲堂、1910(明治43)年7月

岩野泡鳴290

書き出し

一樺太で自分の力に餘る不慣れな事業をして、その着手前に友人どもから危ぶまれた通り、まんまと失敗し、殆ど文なしの身になつて、逃げるが如くこそ/\と北海道まで歸つて來た田村義雄だ。小樽直行の汽船へマオカから乘り込んだ時、義雄の知つてゐる料理屋の主人やおかみや、藝者も多く、艀で本船まで同乘してやつて來たのは來たが、それは大抵自分を見送つて呉れるのが主ではなく、二三名の鰊漁者、建網番屋の親かたを、「また來

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