青空文庫

「夢幻泡影」の感想

夢幻泡影

むげんほうえい

初出:「文藝春秋」1949(昭和24)年4月

外村34

書き出し

一浅黄色の色硝子を張ったような空の色だった。散り雲一つない、ほとんど濃淡さえもない、青一色の透明さで、かえって何か信じられないような美しさである。例えば、ちょっと石を投げる、というような些細な出来事で、一瞬どんな変化が起るかも知れない、と危ぶまれるような美しさだった。そのとき、私には大空を落下する無数の青い破片を想像することもできた。しかも、そんな美しさは、時も、空間も、失なわれてしまったような静

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