青空文庫

「源氏物語」の感想

源氏物語

げんじものがたり

16 関屋

16 せきや

紫式部8
古典の翻案回顧的恋愛観の相対化文壇交友叙情的懐古静謐

書き出し

逢坂は関の清水も恋人のあつき涙もながるるところ(晶子)以前の伊予介は院がお崩れになった翌年常陸介になって任地へ下ったので、昔の帚木もつれて行った。源氏が須磨へ引きこもった噂も、遠い国で聞いて、悲しく思いやらないのではなかったが、音信をする便すらなくて、筑波おろしに落ち着かぬ心を抱きながら消息の絶えた年月を空蝉は重ねたのである。限定された国司の任期とは違って、いつを限りとも予想されなかった源氏の放浪

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