青空文庫

「涸沢の岩小屋のある夜のこと」の感想

涸沢の岩小屋のある夜のこと

からさわのいわごやのあるよのこと

初出:「登高行 第五年」1924(大正13)年12月

大島亮吉18

書き出し

自分たちの仲間では、この涸沢の岩小屋が大好きだった。こんなに高くて気持のいい場所は、あんまりほかにはないようだ。大きな上の平らな岩の下を少しばかり掘って、前に岩っかけを積み重ねて囲んだだけの岩穴で、それには少しもわざわざやったという細工の痕がないのがなにより自然で、岩小屋の名前とあっていて気持がいい。そのぐるりは、まあ日本ではいちばんすごく、そしていい岩山だし、高さも二千五百米突以上はある。これほ

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