青空文庫

「雪の武石峠」の感想

雪の武石峠

ゆきのたけしとうげ

初出:「山岳 十の一」1915(大正4)年9月

書き出し

信濃町から一時間たつかたたぬに、もう大晦日という冬の夜ふけの停車場、金剛杖に草鞋ばきの私たちを、登山客よと認めて、学生生活をすましたばかりの青年紳士が、M君に何かと話しかける。「はじめて武石峠へゆくのです」とのM君の答に、青年紳士は、自分の経験からいろいろ注意をして下された。「武石峠は今零度ほどの寒さでしょう。松本で真綿を買って、頸に捲いておいでなさい。懐炉をもってお出でなさい。腰と足とを冷さねば

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