青空文庫

「白峰の麓」の感想

白峰の麓

しらねのふもと

初出:「みずゑ」1910(明治43)年5月

書き出し

一小島烏水氏は甲斐の白峰を世に紹介した率先者である。私は雑誌『山岳』によって烏水氏の白峰に関する記述を見、その山の空と相咬む波状の輪廓、朝日をうけては紅に、夕日に映えてはオレンジに、かつ暮刻々その色を変えてゆく純潔なる高峰の雪を想うて、いつかはその峰に近づいて、その威厳ある形、その麗美なる色彩を、わが画幀に捉うべく、絶えず機会をうかがっていた。私が白峰連嶺を初めて見たのは、四十一年の秋、甲州山中湖

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