ぎんざのあさ
初出:「文芸倶楽部」1901(明治34)年7月号
書き出し
夏の日の朝まだきに、瓜の皮、竹の皮、巻烟草の吸殻さては紙屑なんどの狼籍たるを踏みて、眠れる銀座の大通にたたずめば、ここが首府の中央かと疑わるるばかりに、一種荒凉の感を覚うれど、夜の衣の次第にうすくかつ剥げて、曙の光の東より開くと共に、万物皆生きて動き出ずるを見ん。車道と人道の境界に垂れたる幾株の柳は、今や夢より醒めたらんように、吹くともなき風にゆらぎ初めて、凉しき暁の露をほろほろと、飜せば、その葉…
鍋焼きうどんさんの感想
闇から光へ、暗から明へ、静から動へ、閑から繁へ、緩から急へ。移りゆく銀座の朝のスケッチ。朝をついて苛酷な労働が始まる。