ふきつのおととラシステキューのかね
初出:「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月
書き出し
昼も見えたそうだね。渋谷の美術村は、昼は空虚だが、夜になるとこうやってみんな暖炉物語を始めているようなわけだ。其処へ目星を打って来たとは振っているね。考えてみれば暢気な話さ。怪談の目星を打たれる我々も我々であるが、部署を定めて東奔西走も得難いね。生憎持合せが無いとだけでは美術村の体面に関わる。一つ始めよう。しかし前から下調をしておくような暇が無かったのだから、何事もその意で聞いて貰わなければならな…