青空文庫

「雪の透く袖」の感想

雪の透く袖

ゆきのすくそで

鈴木鼓村11

書き出し

古びた手帳を繰ると、明治廿二年の秋、私は東北の或聯隊に軍曹をして奉職していたことがあった。丁度その年自分は教導団を卒業した、まだうら若い青年であった。当時、その聯隊の秋季機動演習は、会津の若松の近傍で、師団演習を終えて、後、我聯隊はその地で同旅団の新発田の歩兵十六聯隊と分れて、若松から喜多方を経て、大塩峠を越え、磐梯山を後方にして、檜原の山宿に一泊し、終に岩代、羽前の境である檜原峠を越えて、かの最

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