青空文庫

「二面の箏」の感想

二面の箏

にめんのこと

鈴木鼓村18

書き出し

自分の京都時代にあった咄をしよう。元来箏という楽器は日本の楽器中でも一番凄みのあるものだ、私がまだ幼い時に見た草艸紙の中に豊國だか誰だったか一寸忘れたが、何でも美しいお姫様を一人の悪徒が白刃で真向から切付ける。姫は仆れながらに、ひらりと箏を持ってそれをうけている、箏は斜めに切れて、箏柱が散々にはずれてそこらに飛び乱れ、不思議にもそのきられた十三本の絃の先が皆小蛇になって、各真紅の毒舌を出しながら、

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