青空文庫

「真間名所」の感想

真間名所

ままめいしょ

初出:「趣好」1934(昭和9)年9月号

書き出し

三本松と繼橋千葉縣市川町眞間に引退してから、最早滿三年に成る。友人桐ヶ谷洗鱗畫伯逝いて一年以上、話相手に乏しい余は、切めて史蹟名勝に依つて心を慰めんとするが、一向に趣味の上に心のない町の人々は、史蹟など念頭においてゐない樣である。明治六年習志野の演習へ行幸遊ばされた明治大帝が、その樹下を御通行の際「美事なる松よ」とお褒めになつた市川町の名物三本松も、其一本が盤屈して街道を横斷してゐるのを、下をコン

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