青空文庫

「旅客機事件」の感想

旅客機事件

りょかくきじけん

初出:「探偵」駿南社、1931(昭和6)年11月号

大庭武年26

書き出し

1——E・S微風、驟雨模様の薄曇。「乗客は幾人だね?」煙草を銜え、飛行服のバンドを緊め直し乍ら、池内操縦士が、折から発動機の点検を了えて事務所に帰って来た、三枝機関士に訊ねた。「二名だよ」外では、ブルンブルンBr……と、湖水の水のように、ひんやり静まり清まった緻密な空気を劈いて、四百五十馬力のブリストルジュピタア発動機が、百雷のような唸りをたてている。——矢張り定期航空は、各エア・ポオトで欠航の無

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