青空文庫

「久野女史をいたむ」の感想

久野女史をいたむ

くのじょしをいたむ

書き出し

久野女史をいたむ兼常清佐二年前久野女史が始めてベルリンに来た時私はその最初の下宿の世話をした。そして私がベルリンを去るまで半年余りの間幾度か女史に会った。すべて昔の思い出は物悲しい、特にこの不幸な楽人の思い出は誠に私の心を痛ましめる。よほどの語学の素養と外国生活の予備知識とがない限り、たれも外国に来ればまず初めの数カ月はぼんやりして仕事が手に着かぬ。私は正にその時期の久野女史を見た。当時の女史の心

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