すいしょうのせん
初出:「新青年 (第二巻第九號)夏季増刊」1921(大正10)年8月
書き出し
※一※夜襲名にし負うアンジアン湖畔の夜半。小さい桟橋に繋いだ二隻のボートが、静かな暗にゆらりゆらりと揺れて、夕靄の立ち籠むる湖面の彼方、家々の窓にともる赤い灯影、アンジアン娯楽場の不夜城はキラキラと美しく水の面に映っている。時はちょうど九月の末、雲間を洩るる星の瞬きが二ツ三ツ。肌寒い風は水面を静に渡ってゆく。アルセーヌ・ルパンはとある東亭の中で、煙草を燻らしていたが、やおら身を起すと桟橋の端近く水…
5640ffd5634cさんの感想
短くなってるけど、うまく纏まっている。