青空文庫

「おせん」の感想

おせん

おせん

邦枝完二321

書き出し

虫一「おッとッとッと。そう乗出しちゃいけない。垣根がやわだ。落着いたり、落着いたり」「ふふふ。あわててるな若旦那、あっしよりお前さんでげしょう」「叱ッ、静かに。——」「こいつァまるであべこべだ。どっちが宰領だかわかりゃァしねえ」が、それでも互の声は、ひそやかに触れ合う草の草ずれよりも低かった。「まだかの」「まだでげすよ」「じれッてえのう、向う臑を蚊が食いやす」「御辛抱、御辛抱。——」谷中の感応寺を

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