われらのしめい
初出:「自治農民 第1号」1926(大正15)年4月10日
書き出し
一清い艶やかな蓮華草は、矢張り野の面に咲き蔽ふてこそ美しいのである。谷間に咲ける白百合の花は、塵埃の都市に移し植うべく、余りに勿体なくはないか。跫音稀なる山奥に春を歌ふ鶯の声を聞いて、誰か自然の歌の温かさを感じないで居られやう。然るに世の多くの人々が、此美しい野をも山をも棄てゝ、宛がら「飛んで火に入る夏の虫」の如く、喧騒、雑踏、我慾、争乱の都会に走り来たるのは何故であらうか。二支那太古の民、壤を撃…