青空文庫

「扉は語らず」の感想

扉は語らず

とびらはかたらず

(又は二直線の延長に就て)

(またはにちょくせんのえんちょうについて)

初出:「猟奇」1930(昭和5)年4月号

小舟勝二12

書き出し

1「事件は今から六年前、九月三十日、午後八時から九時までの間に、いわゆる東京六大百貨店の一、S百貨店に突発した、小いさな出来事だ。大百貨店に於ける一装飾工の惨死!このことに興味を抱いた君が、これからS百貨店へ行って、六年以上勤続の店員に訊ねることは無駄だ。恐らく、誰もそんな事件に就いては初耳だ、と答えるだろうから——然し、当夜此の惨事に立会ったものは、店内関係者としては装飾部主任とその部下、宿直主

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