青空文庫

「女坑主」の感想

女坑主

おんなこうしゅ

夢野久作33

書き出し

「ホホホ。つまりエチオピアへお出でになりたいからダイナマイトをくれって仰言るんですね。お易い御用ですわ。ホホホ」新張炭坑の女坑主、新張眉香子は、軽く朗らかに笑った。初期の銀幕スターから一躍、筑豊の炭坑王と呼ばれた新張琢磨の第二号に出世し、間もなく一号を見倒して本妻に直ると、今度は主人琢磨の急死に遭い、そのまま前科者二千余人の元締ともいうべき炭坑王の荒稼ぎを引き継いで、ガッタリとも言わせずにいるとい

2021/02/28

ひまわりさんの感想

時代的なこともあってか、夢野久作後期の作品には反共主義、国粋主義の色味が強いものが多くある。多分この作品もそのうちの1つだと思う。物語や小説に仮託する形で自分の主義、思想をハッキリと反映させているので、コテコテの物語感はあまりない。 浅学のため思想について難しいことは分からないが個人の見解として、作中に登場した「虚無主義」について整理したい。 死が怖くない、恋愛とは遊蕩など厭世観ぽさがうかがえる「虚無主義」は、個人の精神世界、心の考え、感想を便宜上「虚無主義」という言葉にして使っている。 一方「共産主義」や「資本主義」などは私たちの知るとおり、社会や政治に対する意見の派閥、自身の主張を肩書きとして用いられている。そのため「虚無主義」「共産主義」は同じ「主義」という言葉が使われているが似て非なるものであり、むしろ形式的に合わせるために「虚無主義」の形を取っているのだと思った。

1 / 0