青空文庫

「踊る地平線」の感想

踊る地平線

おどるちへいせん

09 Mrs.7 and Mr.23

09 ミセス セブン アンド ミスター トゥウェンティスリー

譲次78

書き出し

1蜜蜂の群の精励を思わせる教養ある低い雑音の底に、白い運命の玉がシンプロン峠の小川のような清列なひびきを立てて流れていた。シャンベルタンの谷の冬の葡萄畑をロウザンヌ発大特急の食堂車の窓から酔った眼が見るような一面に暖かい枯草色のテュニス絨毯なのである。それを踏んで、あたしいま香料浴を済ましてきたところなの、と彼女の全身の雰囲気が大声に公表している、中年近い女が来て私の横にならんだ。肘が私に触れて、

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