青空文庫

「踊る地平線」の感想

踊る地平線

おどるちへいせん

01 踊る地平線

01 おどるちへいせん

譲次75

書き出し

SAYONARAがたん!——という一つの運命的な衝動を私たちの神経につたえて、午後九時十五分東京駅発下関行急行は、欧亜連絡の国際列車だけに、ちょいと気取った威厳と荘重のうちにその車輪の廻転を開始した。多くの出発と別離がそうであるように、じつに劇的な瞬間が私たちのうえに落ちる。まず、車窓のそとに折り重なる人の顔が一つひとつ大きな口に変って、それら無数の巨大な口腔が、おどろくべき集団的訓練のもとにここ

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