さくおとこ・ゴーのめいよ
書き出し
一嵐吹く銀緑色の夕方、灰色のスコッチ縞の着衣につつまれた師父ブラウンは、灰色のスコットランドのある谷間の涯に来た、そして奇妙なグレンジル城を仰ぎ見た。城はその窪地の一方の端を袋町のように塞いでいた、それがまた世界の涯のように見えた。嶮しい屋根や海緑色の石盤瓦茸小塔の聳え具合が仏蘭西蘇格蘭折衷式の城の様式なので、城は師父ブラウンのような英蘭人にはお伽話に出て来る魔女のかぶる陰険な尖り帽を思い出させる…