パリまで
書き出し
浦潮斯徳を出た水曜日の列車は一つの貨車と食堂と三つの客車とで成立つて居た。私の乘つたのは最後の車で、二人詰の端の室であるから幅は五尺足らずであつた。乘合の客はない。硝子窓が二つ附いて居る。浦潮斯徳に駐在して居る東京朝日新聞社の通信員八十島氏から贈られた果物の籠、リモナアデの壜、壽司の箱、こんな物が室の一隅に置いてあつた。手荷物は高い高い上の金網の上に皆載せられてあつた。浦潮斯徳の勸工場で買つて來た…
車室
罌粟の中
光と風と夢