青空文庫

「四十八人目」の感想

四十八人目

よんじゅうはちにんめ

初出:「改造」1929(昭和4)年10月

森田草平155

書き出し

一毛利小平太は小商人に身を扮して、本所二つ目は相生町三丁目、ちょうど吉良左兵衛邸の辻版小屋筋違い前にあたる米屋五兵衛こと、じつは同志の一人前原伊助の店のために、今日しも砂村方面へ卵の買い出しに出かけたが、その帰途に、亀井戸天神の境内にある掛茶屋に立ち寄って、ちょっと足を休めた。葭簀の蔭からぼんやり早稲の穂の垂れた田圃づらを眺めていると、二十ばかりの女中がそばへやってきて、「お茶召しあがりませ」と言

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