青空文庫

「新詩発生時代の思ひ出」の感想

新詩発生時代の思ひ出

しんしはっせいじだいのおもいで

初出:「中央公論」中央公論社、1935(昭和10)年7月号

土井晩翠21

書き出し

ブランデスやテイン※などに其例を見る通り、文學史を書く者の中には、勝手な豫定の觀念を基とし、これに當てはまる材料のみを引用して、何とかかとか纏りを附け度がる弊風がある。漢文學史の上にも澤山の類例があらう。元遺山の編と稱せられて、そして實際其編である事は間違ひない、と思はるゝ「唐詩鼓吹」に、明末清初の錢謙益(牧齋)が序文を書いて、中に明代三百年來の詩學の弊風を攻撃し、『あゝ唐人一代の詩各々神髓あり、

1 / 0