青空文庫

「神田を散歩して」の感想

神田を散歩して

かんだをさんぽして

初出:「解放」1922(大正11)年8月

寺田寅彦12

書き出し

あるきわめて蒸し暑い日の夕方であった。神田を散歩した後に須田町で電車を待ち合わせながら、見るともなくあの広瀬中佐の銅像を見上げていた時に、不意に、どこからともなく私の頭の中へ「宣伝」という文字が浮き上がって来た。それはどういうわけであったかよくわからない。その日は特別な「何々デー」というのでもなかったし、途中で宣伝の行列や自動車に出会った覚えもない。おそらく途中の本屋の店先かあるいは電柱のビラ紙か

2025/08/10

艚埜臚羇1941さんの感想

  そのむかし 神田 駿河台の 公園の そばに 天麩羅定食屋が あった。主人は 仏頂面をして にこりとも しないで 天麩羅を 揚げていた。常連客の 間では 御主人は 何時 笑うのだろうと ひそかに 話題に なっていた。今から 思えば あの 苦虫を かみつぶしたような 顔は 宣伝に なっていた のでは なかろうか。そうだ 店の 名前は 小春 だった。

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