青空文庫

「くちなし」の感想

くちなし

くちなし

初出:「中央公論」1938(昭和13)年1月号

女性の内面家族不和戦争描写社会批評内省的憂鬱

書き出し

童心うちから二人出征している。一人は世帯持ちであるがもう一人の方はひとり者だから、手紙をうち気付でよこす約束にして出発して行った。行ったきり永い間何のおとさたもなかった。四ヵ月ほどして、ハガキが来た。部隊の名と自分の姓の下に名を書かないで少尉としてあった。そういう書式があるということはそのときまで知らなかった。ハガキをうちかえして眺めながらこっちからやるときは名まで書いてやれることを胴忘れして、も

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