青空文庫

「父の手帳」の感想

父の手帳

ちちのてちょう

初出:「中條精一郎」(追悼録)、国民美術協会、1937(昭和12)年1月発行

作家の日常回顧的家族不和文明開化叙情的懐古静謐

書き出し

父は建築家の中でも、書斎で勉強するたちの人でなく、人間の住む家を、様々なその必要の条件にしたがって、事務的に、家族的に、趣味的に建ててゆくという現実の進行を愛したたちでした。そういう気質はいかにも設計家にふさわしい特徴をもっていて、西洋の諺に弁護士と作家と建築家の妻にはなるな、とある、そういう几帳面さを、一面にもっていました。仕事は事務所で、というのが終生の暮しかたでした。事務所では忙しがっている

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