青空文庫

「この夏」の感想

この夏

このなつ

初出:「週刊朝日」1925(大正14)年10月1日秋季特別号

下町風土喪失と記憶文壇交友都市の異化回顧的寂寥軽妙

書き出し

これから書こうとするのは、筋も何もない漫筆だ。今日など、東京へ帰って見ると、なかなか暑い。いろいろ気むずかしいことなど書きたくない。それゆえ、これを読んで下さるかもしれぬ数多い方々の中に、私の親しい友達の一人二人を数えこみ、手紙のように、喋くるように楽なものを書きたい。若しそれが一寸でも面白ければ幸です。先々月、六月の下旬、祖母の埋骨式に、田舎へいっていた。長年いきなれた田舎だが、そこの主人であっ

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