青空文庫

「文化生産者としての自覚」の感想

文化生産者としての自覚

ぶんかせいさんしゃとしてのじかく

初出:「評論」1947(昭和22)年3月号

作家の日常文学批評社会批評分析的憂鬱

書き出し

谷崎潤一郎の小説に「卍」という作品がある。その本が一冊千円で売られる話をきいた。小売店では、いくらなんでもとあやぶんでいたところ案外に買手がある。今時の金は、ある所にはあるものだ、という驚きとむすびつけて話された。荷風もよく売れる。谷崎や荷風のものは、情痴といわゆる遊びの世界にひかれて、文学そのものには全く縁のない闇屋が最近愛読しているということも話された。そのとき「闇屋の作家」という表現が与えら

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