青空文庫

「映画雑感(Ⅱ)」の感想

映画雑感(Ⅱ)

えいがざっかん(に)

初出:「帝国大学新聞」1933(昭和8)年3月

寺田寅彦14
女性の内面文学批評知性と感性の対立分析的懐古

書き出し

制服の処女評判の映画「制服の処女」を一見した。最初に、どこかの柱廊前に並んだ、ものはなんだかわからないが、何かしら勇ましくたくましい男性的彫像などが現われ、それから男性的なラッパの音に導かれて兵隊の行列が現われる。それだけがこの映画における男性の登場者のすべてである。この、対照のために插入されたかと思われる兵隊の行列が女学生の行列に切り換えられてからは、もうずっと最後まで男の役者は全く一人も現われ

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