青空文庫

「田園雑感」の感想

田園雑感

でんえんざっかん

初出:「中央公論」1921(大正10)年7月

寺田寅彦16
下町風土孤絶日常の非日常分析的懐古軽妙

書き出し

一現代の多くの人間に都会と田舎とどちらが好きかという問いを出すのは、蛙に水と陸とどっちがいいかと聞くようなものかもしれない。田舎だけしか知らない人には田舎はわからないし、都会から踏み出した事のない人には都会はわからない。都鄙両方に往来する人は両方を少しずつ知っている。その結果はどちらもわからない前の二者よりも悪いかもしれない。性格が分裂して徹底した没分暁漢になれなくなるから。それはとにかく、自分は

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