青空文庫

「蠅」の感想

はえ

横光利一10
下町風土孤絶死の受容自然と人間の冥通叙情的静謐鬱屈

書き出し

一真夏の宿場は空虚であった。ただ眼の大きな一疋の蠅だけは、薄暗い厩の隅の蜘蛛の巣にひっかかると、後肢で網を跳ねつつ暫くぶらぶらと揺れていた。と、豆のようにぼたりと落ちた。そうして、馬糞の重みに斜めに突き立っている藁の端から、裸体にされた馬の背中まで這い上った。二馬は一条の枯草を奥歯にひっ掛けたまま、猫背の老いた馭者の姿を捜している。馭者は宿場の横の饅頭屋の店頭で、将棋を三番さして負け通した。「何に

2023/05/16

中央原理さんの感想

 危篤の息子のもとへ行くために急いで馬車に乗りたがる悲痛な、そして悲痛なあまり滑稽でさえある農婦と、彼女の気持ちを嘲笑うかのように自分のルーティンを守って少しも急ぐことのない馭者、その他の人々を乗せた馬車が、なんとなく不埒な態度の馬ごと崖の下へ落ち、最後に超然としたハエだけが悠々と空を飛ぶ。  事件だけ見れば悲惨なはずだが、極めて写実的な書きぶりとたった一匹のハエの導入により、機械的な、あるいは爽快感さえある結末になっている。利一による語りの巧みさが見事な、彼の傑作の一つだと思う。

2019/11/04

19双之川喜41さんの感想

 言ってみれば 蝿が狂言回しである。 この世と あの世を 自由に飛び回る。 横光は 小説の神様と言われたそうだが 実に上手い。 あえて 難癖(なんくせ)をつければ 章のこまかさは なんだろうか。 意味が 秘めてあるのだろうけど 見破れないと感じた。

2019/11/04

aokikenichiさんの感想

大昔に読んでいた 春は馬車に乗って と記憶が混同していた 最後の蝿が印象的 機械、春は馬車に乗って、蝿 と連続で読んだが、運命に従い機械的に攻人生がずっとテーマなのかな

2018/04/28

2be317c4df75さんの感想

中学生の頃に教科書に載ってたのを思い出して読んでみた。なんとも言えない殺伐感が漂う不思議な読後。

2017/02/06

bbb58160b3b3さんの感想

先にあらすじのみは知っていたとは言え改めてきちんと読むとこんなにもあっさりとみんなしんでしまう。ただ一匹飛び立つ蠅が死の不条理をなおのこと物語る気がします。

2017/01/20

ed56b5f7d245さんの感想

なんじゃこりゃ!!!な結末でした(^-^;

2016/04/28

319256d467acさんの感想

最初は、場面がころころかわって、読みにくかったが、最後には、皆が馬車にのれて良かった……… と、言いたいが、馬を操る人?が居眠りをしたせいで、皆が死んでしまい、なんとなく最近起きたバスの居眠り運転の事故を思わせた

1 / 0