青空文庫

「土鼠と落盤」の感想

土鼠と落盤

もぐらとらくばん

黒島伝治45
下層階級の描写社会批評都市の異化孤絶静謐鬱屈

書き出し

一くすれたような鉱山の長屋が、C川の両側に、細長く、幾すじも這っている。製煉所の銅煙は、禿げ山の山腹の太短かい二本の煙突から低く街に這いおりて、靄のように長屋を襲った。いがらっぽいその煙にあうと、犬もはげしく、くしゃみをした。そこは、雨が降ると、草花も作物も枯れてしまった。雨は落ちて来しなに、空中の有毒瓦斯を溶解して来る。長屋の背後の二すじの連山には、茅ばかりが、かさ/\と生い茂って、昔の巨大な松

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