青空文庫

「樹木とその葉」の感想

樹木とその葉

じゅもくとそのは

03 島三題

03 しまさんだい

若山牧水40
下宿生活喪失と記憶季節の移ろい芸術家描写回顧的憂鬱静謐

書き出し

その一伊豫の今治から尾の道がよひの小さな汽船に乘つて、一時間ほども來たかとおもふ頃、船は岩城島といふ小さな島に寄つた。港ともいふべき船着場も島相應の小さなものであつたが、それでも帆前船の三艘か五艘、その中に休んでゐた。そして艀から上つた石垣の上にも多少の人だかりがあつた。一寸重い柳行李を持てあましながら、近くの人に、『M——といふ家はどちらでせう。』と訊くと、その人の答へないうちに、『M——さんに

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