青空文庫

「骸骨の黒穂」の感想

骸骨の黒穂

がいこつのくろんぼ

初出:「オール読物」1934(昭和9)年12月号

夢野久作39
下町風土怪奇死の受容静謐

書き出し

1まだ警察の仕事の大ザッパな、明治二十年頃のこと……。人気の荒い炭坑都市、筑前、直方の警察署内で起った奇妙な殺人事件の話……。煤煙に蔽われた直方の南の町外れに、一軒の居酒屋が在った。周囲は毎年、遠賀川の浸水区域になる田圃と、野菜畑の中を、南の方飯塚に通ずる低い堤防じみた街道の傍にポツンと立った藁葺小舎で、型の如く汚れた縄暖簾、軒先の杉葉玉と「一パイ」と染抜いた浅黄木綿の小旗が、町を出外れると直ぐに

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