青空文庫

「あめんちあ」の感想

あめんちあ

あめんちあ

初出:「改造」1911(明治44)年5月

犯罪の動機社会疎外都市の異化怪奇緊張鬱屈

書き出し

彼はどっしり掩いかぶっている雨催いの空を気に病みながらもゆっくりと路を歩いていた。そうして水溜のように淡く耀いている街燈の下に立止るたびに、靴の上へ積った砂埃を気にするのであったが、彼自身の影さえ映らない真暗な路へさしかかると、またしても妙に落着きを装うて歩きつづけるのであった。彼がようやく辿り着いたこの路は、常に歩きつけているなじみの場所である。そうしてたった今、彼の歩いている左手には、二軒の葬

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