青空文庫

「浮動する地価」の感想

浮動する地価

ふどうするちか

黒島伝治36
少年の日常貧困農村の生活金銭と人間関係叙情的憂鬱

書き出し

一ぽか/\暖かくなりかけた五月の山は、無気味で油断がならない。蛇が日向ぼっこをしたり、蜥蜴やヤモリがふいにとび出して来る。僕は、動物のうちで爬虫類が一番きらいだ。人間が蛇を嫌うのは、大昔に、まだ人間とならない時代の祖先が、爬虫に、ひどくいじめられた潜在意識によるんだ、と云う者がある。僕の祖先が、鳥であったか、馬であったか、それは知らない。が、あの無気味にぬる/\した、冷たい、執念深かそうな冷血動物

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