青空文庫

「恐怖の口笛」の感想

恐怖の口笛

きょうふのくちぶえ

初出:「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

海野十三171
怪奇時代劇都市の異化憂鬱静謐

書き出し

逢う魔が時刻秋も十一月に入って、お天気はようやく崩れはじめた。今日も入日は姿を見せず、灰色の雲の垂れ幕の向う側をしのびやかに落ちてゆくのであった。時折サラサラと吹いてくる風の音にも、どこかに吹雪の小さな叫び声が交っているように思われた。いま東京丸ノ内のオアシス、日比谷公園の中にも、黄昏の色がだんだんと濃くなってきた。秋の黄昏れ時は、なぜこのように淋しいのであろう。イヤ時には、ふッと恐ろしくなること

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