かみきりむし
書き出し
桐の青葉が蝙蝠色に重なり合って、その中の一枚か二枚かが時折り、あるかないかの夕風にヒラリヒラリと踊っている。うるんだ宵星の二つ三つが、大きく大きくその上にまばたき初めると、遠く近くの魂がヒッソリと静まり返って、世界中が何となく生あたたかい悪魔のタメ息じみて来る。その桐畠の片隅の一番低い葉蔭に在る、太い枝の岐れ目に、昼間から一匹の髪切虫がシッカリと獅噛み付いていた。その髪切虫が、そうした悪魔気分に示…
中国怪奇小説集
断橋奇聞
八ヶ嶽の魔神
424ee5c93493さんの感想
エジプトを夢見るカミキリ虫、標本にされる。