青空文庫

「小倉右一郎」の作品

小倉右一郎

おぐらゆういちろう

生年:1881-06-09没年:1962-07-15

裸体美に就て

らたいびについて

初出:「文藝春秋 第十三年第一號(新年特別號)」文藝春秋社、1935(昭和10)年1月1日

5
2022/02/03

cdd6f53e9284さんの感想

塑像するのには、着衣だと描写が困難煩雑だから、初心者の練習台は、もっぱら裸体に限られている、その結果、展覧会の出品作品といえば裸体像ばかりの林立と相成る次第、という芸術論。そういう安直な事情を知ってしまうと、芸術家志望者ばかりとはいえ、また、些かの賃金をもらったからとはいって、見ず知らずの他人の前で裸になる娘さんたちの気持ちや如何にという感慨というか、むしろ危惧を禁じ得ない。なにしろ連中は、その裸体をなめ回すように、じろじろと無遠慮に観察しながら、あの貧弱さならまだ処女だなとか、あの垂れ下がり具合からすると男たちからもう相手にされてないのだろうとか、あっ、あの体からすると昨晩やってきたばかりだとか、まあそういうふうに好奇好色な目でモデルさんは見られてますよ、という芸術論。あぶない、あぶない。

1 / 1
「小倉右一郎」の作品 - 青空文庫作品の感想 - | 青空文庫作品の感想