青空文庫

「田部隆次」の作品

田部隆次

たなべりゅうじ

生年:1875-10-20没年:1957-12-20

秋月先生の古稀を祝して

あきづきせんせいのこきをしゅくして

初出:「鎭西餘響」1893(明治26)年5月

3
2022/02/25

cdd6f53e9284さんの感想

小泉八雲の肖像写真を見るたびに、不思議に思っていたことがある、どれもうつ向いて目を伏せているか、あらぬ方を向いている。 ずいぶん不自然な写真ばかりだな、という印象だった。 そういえば、どの集合記念写真にしても、皆がそろって正面を見据えているのに、八雲ひとりだけが横を向いている。 何故だろうと、それも不信に感じていたひとつだ。 確かに明治初期の写真などで、その手の写真を幾つも見た記憶があるし、もっと遡って維新の志士や花魁の集合写真にもそういう写真はあった。 おそらく、左右両端とか真ん中に写る人とか、いずれにしても特定な位置にいると、写真に魂を抜かれるとかなんとか、その手の迷信があって、それを避けるためのつまらない決まりごとだったかもしれないが、しかし、八雲の場合はそんなものじゃない、という確信もなんとなくあった。 そして、最近になって、あることを知った。 漱石が自分のアバタ面に劣等感を抱いていたということと、八雲が片眼を失明していたこと、たぶん、漱石と同じように、そのことに劣等感を感じていたであろうということも。 八雲の愛読者からすれば、そんなことも知らないなんて、ずいぶん迂闊な話だなと言われそうだが、本当だから仕方がない。 それに我ながら相当な悪趣味だと思うが、八雲の正面写真をひと目見たくて画像検索してみたが、やはり、ない。 正面を向いた写真はあっても、左顔面を片手で覆っているか、せいぜい銅像くらいだ。 さんざん探しておいて、いまさら負け惜しみでもないが、そんなもの、見てどうするという気もしないではない。 だいいち失礼だ、お前が言うな。 さて、この「秋月先生の古稀を祝して」は、八雲作品を愛読する者にとっては、揺るがせにできない大切な一文だ。 秋月先生とは、秋月悌次郎のこと。 八雲が熊本の中学校に赴任した時には、漢文の教師として既に在籍していた。 会津藩の出身で漢学に造詣が深く、藩校の日新館でも教えたが、のちの戊辰戦争の際に、白虎隊として多くの教え子を失った。 京都守護職松平容保に従い会薩同盟に関わったが、戊辰戦争に敗れ、会津藩降伏の時は、副軍事奉行として降伏の使者に立った。終身禁固の刑を受けたが、後に恩赦で許され、後半生を教育者として過ごしたという人物だった。 そこで上記の熊本の中学校となるわけだが、八雲にとってほんの昨日まで戦火をくぐってきたような両刀をたばさんでいたサムライと近づきになり、その何事にも悠揚迫らぬ茫洋とした人格に魅せられて、ほとんど最上級の尊敬の域にあることが、この祝状からも伺うことができる。 みずからの隻眼を恥じるなど愚かしいことだと、秋月翁から学んだのではないか、そんな気もする。 ちなみに、日本で娶った八雲の妻·小泉セツも松江藩の重鎮の娘、世界を放浪したのちに得た八雲の不倶を抱えた劣等感の安息の場が、サムライの魂のすぐそばにあったことが分かる一文である。

雪女

ゆきおんな

初出:不明

9
2024/10/24

b72b06bf70b1さんの感想

美男美女を浮かべて読んだ。 最後は切ないけど、愛してしまっていたから殺さなかったのかな。

ろくろ首

ろくろくび

初出:不明

18
2026/02/18

艚埜臚羇1941さんの感想

  以前は 大層 武ばった 侍で あったけど 今は 旅の 僧として 諸国を 徘徊している。返り討ちにした 化け物の 首だけが 衣に 食らい付き 人目を 引いている。たまたま 出会った 盗賊に 望まれて 首を 与える。情景の 描写が 美しいと 感じた。

明治三十四年東京帝国大学文学部卒業生に

めいじさんじゅうよねんとうきょうていこくだいがくぶんがくぶそつぎょうせいに

初出:不明

2
2022/02/22

cdd6f53e9284さんの感想

小泉八雲が、東京帝国大学に雇われて英文学を教えていたときの卒業生に贈ったスピーチ、 「あなた方が出世する頃には、自分はあまりにも歳をとってしまい、この世には、いないかもしれない」なんて、気弱で、どこか寂しさのただようスピーチだ。 それで思い出した。 八雲は学生たちにとても愛されていて、講義も一字一句筆写され、のちに学生たちの手で出版されたらしい。 熊本の高等学校の教師時代の講義の筆写ノートも発見されたという新聞記事も読んだことがあるから、余程生徒から慕われていたのに違いない。 そんなふうに愛された八雲が帝国大学を退職したあとに、入れ替わりに漱石が英文科の教壇に立った。 それはまるで漱石が八雲を追い出すような形だったので、学生たちから漱石は恨まれ、冷たい目でみられたと伝えられている。 そうそう、その前に八雲が熊本の高等学校の英語教師を退職したあとに就任したのも漱石だった、まるで後追いの奇しき縁だ。 小泉八雲と漱石は、似通ったところがあり、よく対比して語られることが多い。 生後まもなく里子に出された漱石は、さらに塩原家の養子になったことが後年の金之助の性格形成に大きなダメージを与え、さらに創作にも多大な影響を及ぼしたのだが、八雲も幼くして母と生き別れ、大叔母に育てられた。 また、漱石は天然痘のためにアバタが残り容貌にコンプレックスを抱いたのに対して、八雲が片眼を失明して生涯女性に劣等感を抱いた点も似通っているし、身長も共に160センチほどしかなく、背の高い西洋人のなかでは威圧された。 八雲の後任として、東京大学英文科の教壇に立った漱石は、学生たちの不評を感じていて筆子夫人に愚痴っている。 「小泉先生は英文学の泰斗であり、また文豪として世界に響いた偉い人であるのに、自分のような駆け出しの書生上がりの者が、その後釜に据ったところで、到底立派な講義ができるわけのものでもない。また学生が満足してくれる道理もない」 ちなみに、高等学校時の月給は、八雲が200円、漱石が100円だった。

生霊

いきりょう

初出:不明

7
2020/11/12

091ac1021992さんの感想

今でも通じる話し。当人の罪じゃないのに

おかめのはなし

おかめのはなし

初出:不明

7
2022/03/01

cdd6f53e9284さんの感想

若き夫に寄せた恋情があまりに強く、死んだのちも、新妻は、その思いを断ち切ることができずに現世をさ迷い、夜毎、夫の床に訪れては夜が明けるまで添い寝して「ねえ、あなた、もっと、こちらにいらしてくれなきゃいや、ばか~ん」てなことを言いつつ、明け方には去っていく。 夫は、妻の死に際に、ふたたびノチゾイを娶らぬように強く誓わされているからして。 日々衰えていく息子を心配した母親は、なにか気掛かりな事でもあるのかえと問いただすと、毎夜亡き妻が現れ、あなたと離れるのがつらくて悲しい、ぜひ一緒に来てくだしゃんせぇとせがまれていると告白する。 えっ~、なんだってぇ、と驚いた母親は、さっそく寺の僧に相談したところ、 「ふむふむ、そうか、霊は迷うておるのじゃ、そのようなことは、よくあること。拙僧に万事お任せさっしゃりませ、みんごとこの拙僧が引導を渡してくれようぞ、ヌハハハハのハ」 僧侶は、近親者一同を墓地に伴い、若妻の墓を掘り返し棺桶を開くと、あ~ら不思議、まるで生きているかのごとき妖艶な若妻が、しなをつくって並みいる親類一同に、愛くるしくニッコリと微笑みかけた。 うぁ~‼️ とパニくる親類一同を 「ええい、黙れ❗ うろたえるな、愚か者ども、これから、わしの為すことを、そのど腐れまなこで、よ~く見ておれ」 僧は、女体に、なにやらの梵字をさらさらさらと書き付けた。 たちまちにして、新妻即成仏と相成ったうえに、それ以降は、新妻の霊は二度と現れなかったというおそまつ、なのだが、最後に気になる一言が書き添えられていた、 「その後、夫が妻との約束を守ったかどうかは、分からない」なのだそうだ。 じゃ、ぜってえ、かわいい娘、もらったな だってさ、言い淀む妻の願い(自分の死後も再婚しないでくれと願うことは、ずいぶん身勝手な願いであると本人自身が一番分かっていたはず)を無理やり話させておいて、「なんだ、そんなことか」的な安請け合い、こういうのが、一番信用できない。 小泉八雲も、事実が分かっているから、あえてこういう書き方をして有耶無耶に濁らせたと思うしかない、霊への同情、これが小泉八雲の一貫した姿勢であります。おわり

雉子のはなし

きじのはなし

初出:不明

4
2022/04/09

cdd6f53e9284さんの感想

最初、この話を読んだとき、不思議な話だなと思った。 もうひとつ、理解できた気がどうしてもしないのだ。 話の途中のどこかで、異質なものへと「急転回」してしまった不可解なちぐはぐ感があって、それが理解を拒んでいるのだなと感じ始めた。 早速もう一度、最初から読み返した時、その理由がようやく分かった。 ある朝、亭主は、妻から数年前に亡くなった舅の夢を見たと聞かされる。 それによると、明日、舅は危険な目にあうから助けてくれという、そういう夢だ。 その日、狩りをしていた侍たちに追われて家に雉子が逃げ込んできた。 これは昨夜見た夢の通りだなと女房は直感し、その雉子は舅の生まれ変わりかもしれないと思い、米びつの中に隠した。 亭主が帰って来たので妻は昼間の出来事を話し、米びつの中の雉子を見せると、しげしげと眺めていた亭主はこう言った。 確かにこの雉子は、亡くなった父親かもしれない、父親もこの雉子のように、ほら、同じ方の片目を失明していたじゃないかと。 そして、こうも言う。 「ちょうど、いつもの父のような嫌な目付きで、この鳥がおれを見ている。······父は自分で『おれはいま鳥だが、猟師に殺されるくらいなら、いっそ、おれの体は子供に喰われる方がましだ』と考えたに相違ない。······これで、お前の昨夜の夢のわけも分かった」と気味の悪い薄笑いを浮かべて妻の方に向かってこう言い足しながら、雉子の首を捻って殺した。 そして、ストーリーはこう続く。 ❮この野蛮な行いを見て、妻は泣き声を上げて叫ぶ。「まあ、この極悪非道の鬼。鬼のような心の人間でなければ、こんなことのできる筈はない。······こんな男の妻になっているより死んだ方が増しだ」と❯ 目の前の雉子が父親の生まれ変わりかもしれない、その証拠もあるとわざわざ確認したうえで無惨に殺しているのだから、女房が嘆き逆上するのも無理はない、かなり悪質な確信犯だ。 しかも、鳥の首を絞める直前に「父親のような嫌な目付きでおれのことを見てやがる」そして、むざむざ猟師に殺されるくらいなら子供に喰われたがっているに違いないなどと自分に都合のいいことばかり言い立て「気味の悪い薄笑いを浮かべて」雉子の首を捻り殺したのだから、状況証拠としてはお誂え向きに、もちろん男に不利な方にだが、揃いすぎていて、そのうえサイコパスっぽい感じさえする。 泣きながら女房は領主のもとに訴え出て、この亭主の悪辣非道な行いの一切を余すところなく告発した。 この告発を聞いた領主も大いに怒り、このような親不孝者は、わが領地に住まわせて置くわけにはいかぬわ、所払いじゃによって、とっとと失せさらせ、いっぺんだけ言うとくがよ、再び領内に入ったときにゃあ殺すきにな、よう覚えとけよと恫喝され、国外追放の身となった。 ❮解析法廷ミステリー·バージョン❯    分量:約13分 裁判長「さて、これをもって、一切の審理は終了しました。検察官、最後に述べたいことがあれば、どうぞ」 検察官「しかるべく」 裁判長「では、弁護人、最後の弁論があれば、どうぞ」 弁護人「裁判長閣下並びに陪審員の皆さん。 私が最後に陪審員の皆さんに述べたいことは、真実はただひとつということであります。 では、真実とは、一体何でありましょうか。 たかが一羽の鳥、雉子を殺めたことが所払いの重罪に問われねばならない程のことなのか、もしそうなら、そこらにいる猟師たちは、うかうか猟もできないではありませんか。 つまりそこをよく御熟考いただきたいのであります。 いまこの被告席にいる青年が問われている罪は、鳥殺しではなく、まさに親不孝の罪並びに親殺しの罪にすり替えられて裁かれようとしているのでありまするが、しかし、ただ今も申し上げました通り、この事件におきましては「親殺し」なるものなど、どこにも存在していないのであります。 あるのは、ただの「鳥殺し」です。 では、なぜ、単なる「鳥殺し」が、いつの間にか「親殺し」へとイメージ操作されてしまったのでありましょう。 これが、まさにこの事件の核心というべき点であります。 当職が被告人に質したところによりますると、供述書に書かれている文言のうち、取調官の主観によって作文された「嫌な目付き」とか「気味の悪い薄笑い」などの形容を差し引いても、さらなる捏造は縷々あるのでありますが、甚だしいものが、この被告人が発したと記録されている架空の証言「これで、昨夜のお前の夢のわけも分かった」という文言であります。 ならば、なにゆえに妻は在りもしない、かくなる虚言を吐かねばならなかったか、それは、なによりも彼女が在りもしない「夢」なるものに真実味を持たせたかったからであります。 それは彼女の夢こそが、被告人を有罪にすることのできる唯一の論拠だったからです。」 検察官「異議あり! 弁護人は······」 傍聴席「ザワ、ザワ、ザワ」 裁判長「静粛に!」 トン、トン、トン「異議は却下します。弁護人、続けてください」 弁護人「ただの雉子を舅と思い込ませる詐術は、彼女の夢を仲介せずには、この青年の罪が決してあり得なかった点にあるのであります。 つまり、そのような夢は、彼女は最初から見なかったということなのであります。 親不孝な息子が、親殺しに手をそめる罪を成り立たせるために親の出てくる「夢」がどうしても必要だった、青年を罪に陥れるための虚言だったのであります。 その青年は、いまこうして獄につながれ法廷の裁きによって今まさに刑を受けなんとしておるところでありまするが、翻って妻はどうして居るかというと、領主から手厚い保護を受け、広大な土地と莫大な財産を手に入れて裕福安穏に過ごしていることは陪審員の皆様のよく御承知のところと存じますが、ただひとつ皆様の御承知のない事実を当職は申し上げねばなりません。 それは、この妻が夜な夜な領主と密通しているという事実であります。」 傍聴席「わあーわあー」 裁判長「静粛に! 静粛に! これ以上本官の指示に従わない者は退廷を命じますぞ。さあ、弁護人、続けて」 弁護人「妻の元に夜な夜な領主が通っている姿を見かけた村人は多数おり、その証言も既に得ております。 妻は領主と謀って邪魔な亭主を罪に陥れたのでありますが、ただ本件共謀の罪はそれだけに留まらず、それ以前に陰惨な殺人事件の上に積み重ねられたものであることをご報告せねばなりません。 あの家の床下には、殺された舅の死体が埋められているのであります!」 傍聴席「わあーわあー」 検察官「わあーわあー」 裁判長「わあーわあー」

死霊

しりょう

初出:不明

3
2022/03/11

ace0443be3bcさんの感想

こよなく怪談話を愛する者なので、小泉八雲の小説は、問題なく星5つを付けるのだが、この「死霊」に関しては、5つを付けるのには、ちょっと躊躇する。 サムライの家のあるじが死んだとき、雇い人たちが共謀して、その家の財産をかすめ取ろうと画策し、偽の借用書を偽造したり、あたかも借財があるかのような偽の証文をでっち上げる。 いよいよ、役人がやって来て差し押さえになろうかというとき、突如、家の女中に亡き主人の霊が乗り移って、この差し押さえは、不正な企みから為されたことだから無効だと絶叫する。 さっそく、調べたところ、不正が明らかにされ、悪事を企んだ雇い人たちは、すべて捕縛され処罰された、という物語。 女中に主人の霊が乗り移って抗議の絶叫をするあたりは、恐ろしいし、すごい迫力には違いないが、「怪談」にしては、元気が良すぎはしないか、という気がする。 不正を証明するために、霊の憑依 した女中さんが、衆目監視のなかで、家財の貸借計算を目にもあざやかに、パチパチパチと正しいアタイを算出してみせる。 あんた、公認会計士か、という勢い。 古来、幽霊に高度な計算力を求めた例はなく、せいぜい「うらめしや」と、脅しかける方が専門なので、この会計監査のような復讐譚には、怪談らしからぬ違和感がどうしてもつきまとうのだと思う。 なので、星4つ。 相当な違和感といってるにしては、この高評価なのだから、やはり怪談好きなのだ、自分。

常識

じょうしき

初出:不明

5
2020/08/22

2c4f69358a48さんの感想

考えすぎは世迷い言を生む。マルクスがその一例。 真理は簡潔なもの。

茶碗の中

ちゃわんのなか

初出:不明

6
2022/04/12

08827f8627d5さんの感想

この作品は実際にあった男色関係の縺れを奇妙な幽霊話に作り変えたと、なにかの本で読んだ覚えがある。作品中でも「中々の好男子、女のような美しい顔」と表現している。その人物が浮かんでいる水を飲み干したので、彼の前に現れた訳だ、お付き合いOKと捉えたんだろう。しかし彼は知らぬ存ぜぬと切りつけた。後で現れた三人の武士は主君が傷を負ったと詰め寄っているが、たぶん心の傷なんだろう。痴情の縺れはどうなったのだろうか?他は詰まらない話しばかりで、面白い場面だけを取り出し、幽霊話しで終わらせたのでは無いだろうか。

忠五郎のはなし

ちゅうごろうのはなし

初出:不明

9

幽霊滝の伝説

ゆうれいだきのでんせつ

初出:不明

4
2022/04/03

cdd6f53e9284さんの感想

この物語は、女たちの浅はかな賭け事のために村の掟を破った「お勝さん」が、神の警告を無視して滝大明神の賽銭箱を盗んだために神の怒りをかい、背負っていたわが子の首をもぎ取られ、神の業罰を受けるという怪異驚愕の物語であるが、読み終えたあとの印象は、神のたたりを描いた「滝大明神示現」の物語というよりも、むしろ、「お勝さん」自身の物語という印象が強烈に残る話だった。 しかし、最も印象に残ったのは、首のない子供の肢体を見つけるお勝さんと、そこに立ち会う女たちのセリフと仕草のやりとりの描写が際立っていて、これは、口承文学的というよりも、もはや演劇的な迫力にまで昇華されたものという感じが心に強く残った。 もともと八雲と妻セツの再話作業(八雲独特の作品形式あるいは手法、平井呈一命名)は、単なる聞き取りの作業を遥かに越えたもので、妻セツの「思い出の記」には、物語を作り上げるまでの二人のやり取りが、記されている。 八雲は、セツに 「本見る、いけません。ただ、あなたの話、あなたの言葉、あなたの考えでなければいけません」と言った。 八雲は、夫人に物語を暗記するだけでなく、再現することを求めたのだ。 この「幽霊滝の伝説」では、 「あらっ、血が」というセリフを幾度も繰り返させ、「どんなふうにして言ったでせう、その声はどんなでせう」と本にないことまで尋ね、そのようにして生まれた「幽霊滝の伝説」は、どちらかといえば、不可思議な現象を語ることに力点をおき、人間的要素に乏しい口碑や伝説の定型を抜け出て、人のセリフや仕草によって山場をつくる演劇的な語りに仕上げていった。 いわば、妻セツに課された役割は、日本の古い伝説を八雲に仲立ちするにとどまらず、霊媒、口寄せ、巫女の役割であり、さらに八雲の求めによって、この怪異な物語の霊罰の被害者であるお勝さんと、その惨状を目撃した女たちの反応を精緻に描くことによって、単なる亡霊譚や怪奇譚は、より客観化され、物語の細部に奥行きを与え、研ぎ澄まされたリアリティーに凄みを与えることに成功したといえる珠玉の名品である。

おしどり

おしどり

初出:不明

3
2022/11/11

19双之川喜41さんの感想

 漁師が オシドリの雄を 殺した。その夜 夢の中に オシドリの雌が 現れた。翌日 嘴で オシドリの 雌は 自分の体を 突き破って自死した。のちに 漁師は 頭を剃って 僧となったという。オシドリの雌の 怒りは いかばかりかと思った。無念が はれる わけもない。

お貞のはなし

おていのはなし

初出:不明

6
2025/01/13

65c8aadc88adさんの感想

雙喜 幼くして いいなずけであった娘が 奇しくも  死後に  再び現れて 愛する男と 再婚する。八雲は 転生というテーマに こだわりがあり 他にも 似たような 作品が あるような 気がした。

術数

じゅっすう

初出:不明

4
2022/10/05

19双之川喜41さんの感想

 一読しても 何のことだか よくわからなかった。八雲の 他の 作品とは かなり 毛色が 違っている。斬首された男が 化けて出なかった わけが 描かれているけど そんな事が 有るかもしれないと 感じた。

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